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情報発信ブログ|さいたま市の歯医者|マスダ歯科医院

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インプラント治療について ~骨が足りないときはどうするの?~

インプラント治療を行うにあたって、インプラント埋入部の骨の量というのは治療の成否に関わる重要なファクターです。このブログを読んでいらっしゃる方の中には、歯がなくなってしまってインプラント補綴を希望したけれど「骨の量が足りないので、うちだとインプラントは難しいかもしれませんね~」と、他院様で断られてしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。そんな時に用いられるのが、今回のテーマである骨再生療法になります。方法としては様々なものがありますが、今回は当院で行っているものをご紹介していきます。

 

  • CGF治療

CGF(Concentrated Growth factors)治療とは、ご自身から採取した血液を遠心分離器にかけることで血小板や成長因子を含んだ血漿成分のみを取り出し、ゲル状にしたものを傷口に移植することで傷の治りを促進させるものになります。正確に言うと骨そのものを再生させるわけではないので骨再生療法とは違いますが、歯茎の治りを早められることにより結果的に抜歯した部位の骨の回復がされやすくなります。また、当院では抜歯部位に移植する以外に、後述する骨移植にもCGFを併用しています。CGFはもともとご自身の血液ですので、市販の移植材を使用するよりも移植部位に感染が起きてしまう可能性を大幅に低下させることができます。他にもつぶして膜状に形成することによりメンブレンとしても使用し、移植部位の保護にも使用しています。

  

 

  • 骨移植

通常は抜歯を行った部位は3~4ヶ月ほど骨の回復を待ちますが、様々な理由で骨の治りが悪かったり、想定していたよりも骨が回復しなかったりする場合があります。その際は口の中で他に骨が余っている部分から骨を採取し、足りない部位へ移植を行います。骨を採取する方法は基本的に2種類あり、骨の表面から削り取るような形で粉末状に採取する方法と、ブロック状に削り出して採取する方法の2種類あります。基本的にはインプラントを埋入する部位から近い骨の多い部分から採取することが多いですが、足りない場合は別の部位を切開して採取してくることもあります。移植の際は上記のCGFに加えて、AFGという遠心分離した血漿成分も併用して移植を行うため、従来の方法よりもさらに傷 の治りを早くさせることができます。  

骨の主な採取部位と主な移植方法(口腔インプラント治療指針2020より)

 

基本的に抜歯後の骨の治り方として、抜歯窩周囲の骨の高さに合わせてそのまま回復していくケースと吸収してしまうケースがあります。吸収が起こってしまう場合は抜歯後1~2か月の間に大きく吸収されてしまうことが多いため、吸収が起こってしまうリスクが高い患者さんには、骨の治りを待たずに抜歯後1~2か月の間で骨移植を行うことでより確実に骨の高さを維持することができます。たとえ移植を行った後に、「やっぱりインプラント治療はやめておこうかな…」となってしまったとしても、骨が回復しているほうがその後の他の補綴治療(入れ歯やブリッジ)の治療成績もよくなるため、当院では抜歯後1~2か月の間の早期の骨移植を積極的に行っております。

  • ソケットリフト・サイナスリフト

上記の骨移植は通常下顎の場合や、上顎であってもある程度周囲の骨が回復している場合には適用することができます。しかし、上顎は下顎と比較して構造物が多く、その中には上顎洞と呼ばれる大きな空洞があり、上顎にインプラントを埋入しようとなった際、まれにこの上顎洞との垂直的な距離が近すぎて、インプラントが骨を突き破ってしまう場合があります。そういった症例に適用されるのがこちらになります。

ソケットリフトは、骨にインプラントを埋入するために掘った穴(埋入窩)を経由し、特殊な機材(オステオトームス)を用いて骨をテント状に押し広げることで骨を作るためのスペースを確保し、そこに移植材を填入し骨を造成する方法になります。埋入窩から造成が必要な場所にアクセスできるので、通常のインプラント手術と切開部位が変わらないため患者様への負担は軽いのですが、造成できる量に制限がある(2~3㎜程度)ため、あまりにも骨量が足りない場合や複数歯にわたる欠損の場合には適用が難しいことがあります。

一方サイナスリフトは、上顎洞の前壁部分に穴をあけ、上顎洞粘膜を直視できる状態にした後剥離していき広範囲にわたって移植スペースを確保する方法になります。直接上顎洞粘膜を剥離していくため、欠損数や骨量に影響を受け辛いため適用できる範囲が広いのですが、通常のインプラント手術よりも難易度が高く、安全に手術を行える歯科医師はどうしても少なくなってしまいます。

 

ソケットリフト

サイナスリフト

また、サイナスリフトは一般的に移植材として人工の骨補填材を用いることが多いのですが、近年この骨補填材によって感染が起きてしまうことが問題視されています。ですが当院では、世界に先駆けて2009年頃より骨補填材を用いない特殊なサイナスリフトを埼玉医科大学総合医療センターと連携して行っており高い治療成績を収めています。国内外でも学会講演やシンポジウム、論文も発表しておりますので安心して手術を受けていただけると思います。

以上が当院で行っている骨再生療法になります。何かご質問がありましたら、インプラントの無料説明会なども実施しておりますので、ぜひ当院までお越しいただければと思います。

インプラント治療について、もっと詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧ください。

https://www.masuda-dental.jp/implant/

歯科医師 島